2007年04月15日

世界を変える人たち―社会起業家たちの勇気とアイデアの力

世界を変える人たち―社会起業家たちの勇気とアイデアの力 (単行本)
デービッド・ボーンスタイン (著), 井上英之 (監修), 有賀 裕子 (翻訳)

この本を読んだ方のレビュー

日本は、世界の中でも大変裕福な国家の一つである。そして、日本の好景気は嘗てないほどの長期間持続を続けている、という。
その一方で、「勝ち組」、「負け組」という言葉に象徴されるような格差社会論が昨今新聞紙上を賑わし、ひきこもり・ニート等の増加、障害者のための福祉問題、途上国において生活の困窮を強いられる貧民など世界中の各国における格差の実態が明らかにされつつある。
本書は、このような格差社会の原因となっている社会的な問題をビジネスの手法を用いて解決する人々、それを「社会起業家」と呼ぶが、その社会起業家にいわば「普通の人々」がどのようになるのか、本書に登場する社会起業家に共通する資質(要諦)とはどのようなものなのかなどについて書かれたものである。
著者は、アメリカ・ニューヨーク在住のジャーナリストである。1987年アメリカ環境保護庁(EPA)幹部だったビル・ドレイトンが創設した世界中の社会起業家を支援するための組織「アショカ」(Ashoka:Innovators for Public)からアショカ・フェローと認められた社会起業家を著者は実際に現地に訪ね、取材したのである。
ドレイトンが創設した「アショカ」(この名称は、紀元前三世紀に徳政を施したとされるインドのアショカ王の名に由来する)は、アジア、アフリカ、南北アメリカ、ヨーロッパの46カ国で活動しており、これまでに支援した社会起業家は1400人、合計で、4000万ドルを提供し、専門的な助言なども行っている、という。
日本国内では、ベンチャー企業を立ち上げる、所謂、「起業家」について多くの成功物語、或いは、その起業成功のためのノウハウなどが書かれた関連書物も多く出版されており、近年注目されている。これに対して「社会起業家(ソーシャル・アントレプレナー)」という言葉は、決してポピュラーとは言えず、多くの人々にとって聞きなれない言葉であろう。
著者は、この「社会起業家」を「社会の重要な問題を解決に導くために新しいアイデアを抱き、不屈の精神でビジョンの実現を目指す人々、頑として弱音を吐かず、決して諦めずに、どこまでもどこまでもアイデアを広げていく人々である。」と定義している。しかし、これでは、企業の通常の社会貢献活動と同じ活動ではないか、と考える方もいるであろう。
この点については、監訳者の井上英之氏が、本書の解説で「成果の道筋をはっきり意識しているのが社会起業家で、この点が“とにかく、ひたすら頑張る”ことに力を注いでしまうことの多い社会貢献活動との相違点で」、「社会起業家は、誰かの「お恵み」を乞うのではなく、社会への「投資」を求める、それが、現実的な事業家でもある社会起業家が目指す、ソーシャル・イノベーション(社会の変革)の姿」と述べている。
著者が実際に訪ねたアショカ・フェローの人々は、ブラジルの貧しい村に電気を引いたファビオ・ロサ、社会主義国ハンガリーに障害者の「夢の家」を建設した知的障害児の息子を持つエルゼベート・セカレシュ、アメリカで低所得者家庭の子供達のために大学進学支援を行うJ・B・シュラムなどであり、それらの人々のライフストーリーとともに、どのような経緯で、どのような困難に直面し、それをどのような方法で克服し、「社会起業家」となったかが語られるのである。

amazon.co.jpより引用

本書のキーワードは「社会起業家」という言葉だろう。
本来起業家というのは、利益を求めるもので、もちろん社会に貢献するべきものではあるが、社会的な問題をビジネス的手法で解決する。というアプローチを行う人は少ないのではないか。

そういう意味でも本書では貴重な事例を知ることができる。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると

社会起業家(しゃかいきぎょうか)は、社会変革の担い手(チェンジメーカー)として、社会の課題を、事業により解決する人のことを言う。

社会的企業家(ソーシャル・アントレプレナー, Social Entrepreneur)ともいわれ、「ソーシャル・イノベーション(Social Innovation)を起こす人」とも定義される。自ら団体・会社を始める人でも、組織内にあって改革を起こす人でも、いずれもありとされる。

社会起業家(社会的企業家)により行われる事業は、社会事業(ソーシャル・エンタープライズ、Social Enterprise)と表現されている。

なお、日本ではソーシャル・アントレプレナー(ソーシャル・アントレ)という呼称が認知されているが、アメリカでは、ソーシャル・エンタープライズという呼称が一般的である。
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